何とそこには美少女がいた。
小柄で、背丈は160あるかないか。太っているわけでも痩せているわけでもなく、まさに健康的。
同じく健康的に日焼けした肌には、白地のTシャツとジーンズがよく似合っている。
アクセサリーや小物もなく、気取った風もない自然な美少女。
学ランと比べれば大分地味でラフだが。いや学ランと比べるのは間違いか。つーか学ラン暑い。
そしてその表情は、俯き加減でよく見えないが、気恥ずかしさからか多少赤みが差しているように見えなくも無い。
「お、おすおす」
しまった。不覚にも見蕩れてしまった。
5秒以上話す言葉が浮かんでこなかったときの定例句が自然と口から発せられる。冷静だな僕。
いや違う。これは確か"冷静であると判るほど興奮している"状態なんだとどっかの先生が言っていた。
確か、人が排泄物の臭いを嗅いだ時の脳の反応だったか。
つーか僕今汗臭かったりしないよないや僕は昨日スパに泊まったんだから大丈夫でも学ラン洗濯してねえどうしよ。
って何思考飛びまくってんだ。やっぱり冷静じゃないな僕。
だがみくびるな!
たとえ美少女相手だろうと、おすおすを挟むことでどうにか脳の演算時間を確保することに成功した僕は二の句を継げる…!
「おみやげを持ってきた!うけとれええええ!」
「…ありがとうございます」
ミッションコンプリート。
不自然だって?はっはっは、無粋なことを言うでない。美少女相手だぞ?僕はよくやった。
かまぼことわさび漬け、そして
ゆ○りせんべいの入った袋を手渡し、
ついでかまぼこは保冷材が二日前に切れてて品質が保証できない旨を説明する。
嬉しそうに受け取った後、美少女はまた俯いて黙ってしまうかなという僕の予想に反し、
「わかりました、気をつけます。あと、…えっと…」
「ん?」
美少女が何かを言おうとしている。
うん、確かに俯いて黙っているね。全言撤回しないといけないね。でもね。
もじもじしながら俯き、目線を左右に揺らす姿がいやにかわいらしい。
しかも敬語だよ?あの美少女が敬語だよ?しおらしい美少女なんだよ?
だからそんな細かいことを逐一気にしてる場合じゃないんだ。
この一分一秒を完全に記憶保存するためだけに、
僕の脳はこんなにもハイスペックに生まれ育ったのだろう。神様も罪なお人。
「…あの、こっちも、おみやげ、持ってきました」
「おおおおおおおおおっ!ありがとう!なんだっ!」
「て、手作りです…自信作です」
よく言えました!
多少しか期待していなかったものの、やはりお土産返しをされるのは嬉しい。
おしかけただけの僕相手になんとまあ甲斐甲斐しい。
にしても手作りかあ。なんだろうなあ。期待と憧れのパレードに、夏の暑さなど入り混じる余地は無い。
美少女は持参していた唯一の荷物である手提げ袋の中からごそごそと何やら円筒上の物体を取り出し、
僕の顔色を窺っているのだろうそわそわした動作でそれを差し出す。
これは一体なんだろう。器か何かだろうか。大阪は焼き物か磁器なんかで有名だっただろうか。
いやあ僕も勉強不
「…鉄パイプ」足だなあははははははははっははははは。
「なんだってえええええええええええええ!」
「あの、おあごに合わなかったらごめんなさい…」
―鉄―
※注意)誤植があります。
※編集の手違いにより、"時治"と表されるべき箇所が全て"美少女"となってしまっております。
※読者様各自で脳内補正されるようよろしくお願いいたします。
- 2010/08/26(木) 01:29:20|
- 今をぼやこう
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