やつは

「突如」を「とつにょ」と読みやがった。



一応中学三年生という設定があるのだから、できれば暴れるのはその設定の許す範囲内だけにしてほしい。



しかし皮肉にも。

毎回毎回実は、やつはネタを仕込んできてるんじゃないかと疑ってしまうほどに。

家庭教師としてではなく、掛け合い漫才の練習にきているんじゃないかと錯覚するほどに。



やつの天然ボケに最近はまっている。



人を笑わそうと思って、面白いことをする芸人やギャグものには申し訳ないが、ナチュラルに人を笑わせることのできる人間ってのはいる。

正直、すげえやつだと思う。



学力でしか人を見ることのできない自分が、逆に何かを教えられている感覚すら湧いてくる。



だから、やつが学力なんかを理由に、人に違った部分を評価される機会を失うことのないように。





僕は、今日も今日とてやつに因数分解を説くのだ。

だけど頼むから公式くらいはそろそろ覚えてくれよ頼むからさそれだけでいいからさ…。